大海とむ先生の最新作、「悪し妻かたり」を読みました。おもしろかったです!
簡単にネタバレと感想を書きます。
大海とむ最新作!歴史ファンタジーロマン!
蛇神の加護を受ける一族・荒廸(あらみち)家。
婚家に繁栄をもたらす荒廸の血を持ちながら、
“悪妻”と名高い娘がいた。
戦で夫を失い、国を攻め滅ぼされたその娘・水松女は、
夫の仇である若武者・加左吉次郎に娶られることとなり…!?
悪妻と呼ばれた娘、そしてそれを妻にむかえた変わり者。
暗君となるか、それとも名君として名を残すか?
不思議な縁で結ばれた夫婦の運命は―――
大海とむが贈る、歴史ファンタジーロマン第一巻!
ebookjapanより
ebookjapan| 悪し妻かたり【期間限定 試し読み増量版】 1巻
大海先生は代表作「禁断の恋でいこう」シリーズからのファンです。何と言っても、動物・歴史もの・着物を書くのが上手い!(笑)そして段々ハマるパターンが多いです。
今回も歴史ものということで期待大!作者買いで読むことにしました。
早速ネタバレを書いていきます。
ネタバレ
荒迪(あらみち)の家の娘は、蛇神の加護を受け、生んだ子は家の隆盛をもたらす。
水松女(みるめ)は、そのように語られる「蛇神の愛娘」でした。
あるとき、水松女は、夫・屋鉄長治(やがね ながはる)を打った加佐吉次郎(かさ きちじろう)に嫁ぐこととなります。
悪い噂の多い水松女に対し、冷ややかな態度を取る加佐家の臣下たち。
しかし、吉次郎は悪評にとらわれることなく、水松女への無礼を働いた孫四郎(まごしろう)を一喝します。
侍女の美与(みよ)・喜久(きく)との3人だけになると、野良着に着替える水松女。
実は屋鉄のもとでの水松女はほとんど放置されていたため、自らのことは自らまかなう生活をしていました。
仮病を使い、水松女はひそかに薬草を摘みに出ます。
そこに、畑の世話を任せていた下働きが吉次郎に見つかったとの連絡が。
責任は自分にあると頭を下げる水松女。
水松女は貧しい者たちが飢えないよう、屋鉄に隠して畑や薬の知恵を与えていたのです。
水松女に見舞いの花を渡すと、吉次郎は寛容な笑顔を見せました。
吉次郎は、女である水松女の意見にも公正に耳を傾けました。
人となりを知るにつれ、水松女は少しずつ吉次郎に惹かれていきます。
しかし水松女は、子を生せず悪評も多い自分は身を引くべきだと考えていました。
*****
屋鉄の遺品を受け取り、部屋の人払いをする水松女。
その真意を知るため、吉次郎は水松女の部屋へ。
覗き込むと、そこには屋鉄の魂をとらえ、罰を与えようとする蛇神の姿がありました。
着物のはだけた水松女の体には、無数の傷跡が……。
それは、生前の屋鉄の度重なる暴力によるものでした。
死してなお水松女をあざける屋鉄とその行いに激しく怒る吉次郎。
吉次郎は、水松女の傷は心を守った証だと言います。
その言葉を受けて立ち上がった水松女は、その手で屋鉄に刀を突き立て……倒れ込んでしまいました。
倒れて以来、いまだ寝込みがちの水松女。
吉次郎は、水松女が蛇神と水松女自身が受け入れなければ子のできない体だと知っても、妻として大切に扱います。
しだいに絆が芽生えていく吉次郎と水松女。
*****
吉次郎は、お腹に子のいる犬を預かることになりました。
犬の面倒を見ていると、そこに新しい側女が。
それは、いとという美しい女性でした。
吉次郎といとが仲睦まじい様子だと耳にした水松女は、寂しそうに微笑みながら、それでいいと言います。
*****
犬が子を産みそうだと聞き、いてもたってもいられず、水松女は吉次郎のもとへ。
遠くから覗くと、いとに笑いかける吉次郎の姿が見えました。
胸を押さえ、戻ろうとする水松女。
そんな水松女を呼び止めたのは、いと……?
水松女に強い不満と不信感を抱き、いとのほうが吉次郎にふさわしいと考える孫四郎。
細やかに気を配り、たくましく立ち回る水松女を、好意的に思い始める左馬之介。
働き者で心優しい水松女を好ましく思い、吉次郎との幸せを願うつゆ。
吉次郎の臣下3人から見た水松女が描かれた短編です。
感想
「悪し妻かたり」、女性の生き方について考えさせられるところもあり、すごくおもしろかった!
賢くて優しい水松女、憧れの女性像だなあ。
悪評に惑わされず水松女のありかたを公正な目でとらえようとする吉次郎も素敵な男性。
元夫に軽んじられた過去から男性恐怖症の一面もある水松女ですが、吉次郎との触れ合いの中で心を癒していってほしい。
でも、お世継ぎの問題が……ふたりはどうなってしまうのか、気になる!
ebookjapan| 悪し妻かたり【期間限定 試し読み増量版】 1巻